CampⅦ

1920s Mt.Everest Expedition

絵の仮置き

 最近また寒くなっているけど春らしくなってきたので強めの幻覚を露出しに来ました。

 全然こんなことしている場合ではないのだが踊りたくなった瞬間が踊り時なので!

 STARGAZERが一区切りつくところまで書けて投げたらちゃんと整理と弁明を残した記事を作るんだ多分…その一区切り、去年の6月には終わっているはずだったのにな~

 

続きから

 

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遠くへ

 仕事に追われているあいだに1月も終わりかけに。関西の遅い松の内もとうに明けましたね。

 大晦日と元旦は休みシフトだったものの、年間休日96日の仕事なもので、季節感は殆どないし、付き合いの長い友人との挨拶はすっかりSNSで済ませるようになってしまいましたが、それでも頂いた寒中お見舞いや年賀状を何度も読み返し、台湾の方からいただいた新年祝いのプレゼントやカードに華を感じたりなどしていました。台湾の食べ物全部おいしいすごい、パッケージを読むのも楽しいです。

 それにしても触れられる手紙や葉書やカード、綴られる優しい言葉、ひとの書いた文字、本当にほんとうに嬉しいものです。ありがとうございます。死んだ顔して帰ってきた日でも、触れれば心にあたたかい血が巡りなおす思いです。

 

 2021年はプライベートでも仕事でもモヤモヤする出来事が多く、秋以降は会社が混乱状態に陥ったこともあり、全体を通した印象としてはお世辞にもいい年ではなかったなあ。
 その代わりとばかり、とびきり大きないい出来事…夏のイギリス行き、コミティア、冬の大山、そして感染リスクを警戒しつつ会えた友達、…鬱屈した淀みの中に、そうした光が点在しているような年だったように感じる。
 正直しんどかった! でもかけがえのない経験を出来た重要な年だ。

 2022年を迎える前に、一体どんな一年になりそうかを考えていた。でも全然分からなかった。
 会社は…現在進行形のことだしとてもオープンな場で書いていいものじゃないけど、とっくの昔から組織として滅茶苦茶な状態で。積み上げた様々な負債が大きすぎて、いっそ倒産した方が楽じゃないかと思ってしまう惨状。
 私個人としてはひとまず実家に帰って貯蓄のペースを上げたい気持ちが強まっていた。ふわふわの小さな家族もいるしね。
 そして何より、イギリスで暮らしてみたい。YMSが欲しい。でも完全ランダムで無作為な高倍率抽選に当選するかは全然分からない。
 年が明けた時点で、次のお正月に自分がどこに住んでいるかも分からない状態だった。
 ただ望みとしては、もう今暮らしている部屋で次の年を迎えたくない。

 

 そんな感じで落ち着かない気持ちでそわそわしていましたが、今日のお昼前、ひとまず次のお正月の居場所は決まりました。

 

 なんとYMS当選! 久しぶりに興奮で手が震えた。
 夏の初めを目途に渡英して、昨夏滞在したオックスフォードに住んでみる心づもりです。
 1922年の英エヴェレスト遠征から100周年、そして2年間滞在可能であるため1924年遠征から100周年記念のタイミングもぎりぎりカバーできるベストタイミング。
 実際どれほどかは不明ながら、倍率の高さを思うと信じられない幸運だ。 
 応募2回目での当選というのもなかなか…そもそも30歳までという時間制限的に、一度も当選しない可能性さえ十分にあったのだから。
 掴んだ幸運を最大限活かせるよう、勉強や下調べ、現職のこと、引越し準備や日本でのやり残しを進めていこうと思います。おお積読の山よ…。

 

 なんとなく、今回は当選ワンチャンあるのでは? という楽観的な予感があって。
 でもそういうことを口にすると叶わなくなりそうだなという気持ちもあり…迷信だと苦笑いしつつ、黙って応募して、黙って当落通知を待っていた。
 こういう迷信が抜けないと、いい予感というのはいつだって後出しじゃんけんになりますね。逆に悪い予感がしたらさっさと口にして笑い飛ばしてしまうのに。
 昨夏は応募締め切りから3日後に外れた通知メールが届いたけれど、今回はそれに比べると遅かったので随分そわそわした。抽選日と結果が数日後に出ることだけ伝えてあとは何も言わず応募して黙り込んでいたので、実家の両親は触れていいものだか困っていたらしく申し訳ない。
 今回、そして7月の2022後期抽選でも落ちたらアイルランドワーホリに応募して、いずれにせよ次のお正月は海外、もしくは渡航準備のため帰省した実家で迎えるつもりで考えていたので、昨夏ほど今の仕事や環境から逃げたいというマイナス方向の切羽詰まった感覚はなかったのだけれど。でもこのタイミングでの渡英がベストなんだ。
 昨日の午後、帰宅するまでメールが来なかったらTwitterで「YMS 2022」を検索してしまおうと決めて帰り、まだ結果が出ていないことを確認し。

 21年内に崩すつもりでいたのに、感情が重たくてすっかり遅くなってしまったパイの『ジョージ・マロリー』をとうとう読み終えて、眠り。
 朝起きてスマホを見たら「GOV.UK」からのメールが届いているので一瞬ぎょっとし、それからYMS関係のアドレスは別だったことを思い出し。(昨夏の渡英のために政府の発表する入国規制関係のページが更新されたら通知メールが入るように設定したままになっているんだ。)
 ぎょっとしたせいで二度寝もできず、落ち着かない気持ちで布団の中昼前までごろごろしていたら、今度こそYMSの当落通知メールのポップアップ。
 起き上がり正座して、Aviici の Waiting For Love を流し始める。最近仕事でひとり車を走らせているとき、ループし続けては口ずさんでいる3曲のひとつ。
 これで落ちていたとしても、貯蓄と英語準備の猶予が伸びる。いずれにせよ来年にはここを去ってイギリスかアイルランドへ行ける。マイナスもあるけどプラスだって大きいからしょげることはない。そう確認して、十分していたはずの心の準備をもう一度整えてメールを開く。
 ……文章が長い。
 昨夏の落選メールは、開いたらすぐ英文の下にある落選を知らせる邦文も見えていたのではなかったか。
 期待するのをまだだと抑えながら英文を読む。当選している。これからの手続きについての案内が長いメールに書かれている。
 邦訳文も確かに当選を報せている。
 意志あるところに道は開ける、美しいね…(曲解)

 

 念願のビザが最高のタイミングで手に入ることに喜びもひとしおですが、半年以内に準備を済ませないといけないこと、日本でやっておきたいことが山ほどあるので色々と前倒しで頑張っていきます。
 両親も祖父母も喜び祝ってくれて、なんだか受験の合格が決まった時みたいでちょっと懐かしかった。
 マロリーとアーヴィン、ちょうど100年を隔てた1920年代の遠征とその背景となる土地を、歴史を、空気を肌で感じ、日本から行くのではなかなか時間や金銭的都合が難しい部分を目いっぱいカバーできる2年間にしたい。
 自分自身の経験を積むことも勿論だけれど、追っている人の姿がもっとよく見えるようになったらいいな。

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雑記

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 全然描いていない年だった気がしていたけど、複数枚描いている月もあるので均したら月一くらいは何かしら仕上げていたみたいだ。

 赤と青を強く出そうとするせいで黄色の印象が無いな~来年はセピア系も塗ってみたい。最初の頃はどちらかといえば塗りが茶色っぽい絵ばかりだったのだけど、オーバーレイやトーンカーブやグラデーションマップを覚えたらこの様よ。


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 今月に入ってからは実にならない落書きしかしていない…。

 何となく自炊する気分になったので、転職してから初めてコンスタントに自炊しているのはちょっとえらい。でも「自炊できるけど自己満足の小説一本書けない生活」と「自炊できないけど自分が読んで楽しい小説は書き進められる生活」だったら後者の方がいいんだよなあ。とはいえ自炊が続くのは気が乗っている今だけだろうから精々作り置きに励もうというところ。

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 優しめな表情に描いたつもりが影の落とし方のせいでちょっと怖くなっちゃったね。

 

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 寒波も入って一気に冷え込んだので、年が明けたら適当な休日を見計らって雪の伊吹を楽しんで来ようと思っています。転職前に行った時はもうでろでろの残雪最終日といった趣&耳管開放症をやらかしている中で登ったせいでひたすらしんどかったので…。

 本当は八ヶ岳へ行きたかったけど会社は人がいないし仕事は忙しいしで、今年遠出できるような連休を取るのは難しそうで残念。夏にイギリス行きでお金使っちゃったし、節制の冬と思って…それでも日帰り圏内にしっかり雪の積もる山があるのは有難いこと。

 天候次第ですが日没~夜明けまで山でガッツリ過ごして、黄昏・星空・黎明を楽しめたらベスト。いい巡り合わせの日があるといいな。

 昨シーズンは背伸びしたせいでちょっと滑落もやらかしてしまったので、今シーズンは反省を活かしていかねば。滑落しても自力で止まれたし顔面をすりむいたくらいなので、自分としては正直なところ軽傷で滑落という経験ができた・きちんと講習で教わった通り滑落停止をかけて止まれたという満足感に近い気持ちが大きいのだけれど、大事になりかねないアクシデントを起こしたのに恐怖感を覚えていないのは駄目なのだろうとも思う。怖がりすぎていたら何もできないけど、運動神経がいいわけではないのだから真っ当に怖がれないと行きたいところへ行く前に終わってしまうんじゃなかろうか。

 マロリーの登山への考え方を綴った論文は、職場などで向けられる登山趣味への「理解できない」系の言葉への反駁にもなっていて心強く思う部分もあるし、すべてを噛み砕き切れてはいないものの自分が言語化できずにいた衝動や感動の輪郭を与えてくれるものが多いとも思う。けれど、彼はこういう実力に見合わないことをしてやらかすようなものはひどく嫌悪して批判しているし、その論を読んでいて身につまされるものがあるような登り方はしてはいけないね。

 自分が怪我をする、痛い目を見るといったことについては後々山に影響するような後遺症を残さなければいいと思っていて、そういう意味では大きな骨を折ったり指をなくすようなことは非常に避けたいけれど顔に傷痕が残るなんてのは本当にどうでもよくて、鏡を見る度に自戒と思い出になるだろうな~くらいの考えで…でもそういう態度で登るのは不誠実な気もして。

 そういう時に敬愛する登山家の鋭い批判の言葉があることは、根本的な解決にはなっていないかもしれないけどひとまず自分のブレーキになってくれる事実だな。不誠実って何に対して不誠実だと思っているんだろう。その背を何らかの形で追いながら登るのであれば、恥じることのない態度を取れという意味での誠実さを求めているのかな。

 

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雑記

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 J.A.ウェインライト作 'A Deathful Ridge' が長いこと24年パートを除き手つかず状態の読みさしなので、来年前半中くらいを目途にちゃんと通読したいな…出来たらいいな…などと思いながら二連休楽しくSai開いていたらぱっと見センシティブな雰囲気になってしまい、ブログに残すのも憚られたのでお蔵入りになったものの供養。まんま該当光景のシーンがあるわけでもないが作品もセンシティブなシーンがあると言えなくもないかもしれない。

 

 などと言ったところで、きっかけはおでこ描きたかったのとアニメ金カムをS2まで一気見してアクションを浴びてアグレッシブな気分だっただけだ。無料公開期間に一気読みして面白かったしもう連載は最終章なので最終巻が出たらまとめ買いする予定だけど、サバイバル・アクション・歴史・ミステリー・グルメ・文化と好きなテーマがもりもり詰まっているので変なタイミングで既刊まとめ買いしそうな気もする。雪山が恋しくなるしアイヌ料理も食べてみたい…大阪にお店があるようなので、他に何か予定のある時に足伸ばしてみたいと思います。

 チベット料理もそうだけど、興味のあるちょっと珍しい食文化が結構高確率で肉食に重きを置いているので、肉があまり得意じゃない身としては少しどきどきする。でも食べて知ることは楽しいので、美味しく食べられず申し訳ないことになってしまう可能性が高すぎるモツ系や精神的な壁がまだ超えられる気がしない虫食など以外は、機会があれば試してみたいものです。その土地で生きていくということが食にはっきり出ているもの、特色のはっきりした郷土料理や伝統的な食べ方ってすごく興味深い…本当は現地で食べるべきなのだろうな。

 あと世界史も大概だけど日本史がザルすぎるのと横割りもガバガバなせいで、Twitterで百年前の今日起こった出来事をツイートしている日本と英語のアカウントに日々ヒントを流し込んでもらいながら気になったことは調べるという感じになっているのですが、金カムの物語開始は1907年だったんですね。何となく遠征の頃日本は大正時代で関東大震災の頃で~…くらいの認識しか整っていないので、マロリーが学生時代、サンディがまだまだ小さい頃の横割りイメージが少しやりやすくなりました。

 

 都度都度気の向いたことをしているせいで何も終わっていないけど、話を聞いてほしい人に話したらなんだかすっきりして優先度下げてしまっているイギリス旅行まとめもいい加減に…夏の課題を終えないままもう年の瀬だなんてそんなまさかー。

 

 それと最近はマロリーの親友デイヴィッド・パイによる伝記『マロリー追想』も読んでいるので、こちらは絶対年内に読み切りたい。とても整った文章なので読もうと思えばすぐ読み切れる量ではあるのだけど、いいものを前にすると読み切ってしまうのがもったいないのと気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうのとで、いつまでも開いたり閉じたり拾い読みしたりを繰り返してなかなか通読しないのは悪い癖ですね。毎日クリスマスイヴとか、永遠にシンデレラ城が見えるまま辿り着けないディズニーランド行きの東名高速みたいなもの。本の中にいる(もうある程度知っているはずだけど)大好きで素敵なひとと、そのひとのことを愛し温かな眼差しで見つめ語り残した人の質量に圧倒されてしまう。伝記の著者のことも考えながらちょっとメタ視点も込みで読めるようになったのはマロリーとアーヴィンのことを調べ始めてからですが、親しい人・思い入れのある人の書いた厚いひとまとまりの伝記は、小さい頃読んでいた大手出版社から出ている子供向け伝記や名人列伝などとは違った楽しみがあっていいものですね。

たんか

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色褪せぬ誇りは青きみちめぐる今なお咲かせよ死者のかんばせ

 

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どうやって此処まで来たかも分らぬようトレースは消した百の星霜

 

 仕事で脳がパンクしそうだったりする時など、ひと目でたくさんの作品が並んでいるのを見て安らぎを得たいがための57577メモ…から比較的好きな気がするものの写しをここにいくつか置きました。
 短歌全く分からないしこういうセンスもないので恐らく相当無様なものを晒しているけど、会社の諸々でメンタルが死んできたので少しでも自分がぱっと見て楽しくなるものを増やしたくて。

 数ヶ月前から「小説を書くような腰据える時間はないけどフィルムひとコマ分でも発散したい」というような時にちょくちょく書き溜めているので数自体はもっとある。しかし修正はしても削除はしないルールで零しているのでいくらなんでも出せないものも多かった。メンタルが駄目になると、それでもポジティブな感情が動くものが存在するだけでありがたいのだけどね。
 現実のことを考えながらのものと創作物のことを考えながらのもの、詠み手が誰の想定(視点)かなど、ついでに新旧も現段階ではごちゃ混ぜだけど、偶にはオッちょっといいのでは? と思えるようなものが詠めるようになったらいいな。期待はしていない。

🎃

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 ここ2年以上のあいだ四六時中考えている割に全然夢には出てこないのですが、数日前珍しく夢枕に立たれました。

 以前にも一度出てきたのですが、その時は蝋人形で百年前のイギリスの暮らしを再現した展示を見ていたらいつのまにか傍に立っていて、黙って微笑みながらじっとこちらを見ているだけでした。

 今回の夢の舞台は1924年6月だったようで、ノートンとサマヴェルがファイナルアタックの話をしていたのはそれらしいけれど、サンディは何故かマロリーを探してひとりで登っているようでした。

 しかも夢らしく滅茶苦茶なことに現代風の装備に身を包み、運動神経はいいけど危なっかしさの強い調子で松の樹皮のように脆い岩肌とアイスのミックスをクライミングしていたり。

 突然巨大且つ獰猛なイエティと、モン○ターズインクのサリーの着ぐるみ、それも首から下だけを着てイエティの着ぐるみだという設定になっている凶暴なおじさんが登場して、サンディあわせ謎の三つ巴の戦闘が始まったり。(この夜寝る前に友人とゾンビワールドという映画を見ていて、その中に出てくる海底産ゾンビ?を相手に無双するヤバいおじさんを見ていたせいですね。)

 強めの神話生物ばりにイエティが理不尽なパワーバランスなので、恐らく気絶判定に失敗したのであろうサンディを連れ、何故か山中に建っている小屋へ逃げ込み、何故かそこで当たり前のように快適な生活を送っている妹に美味しい和食を恵んでもらいながら心肺蘇生を試みたり。

 でもあまりにも真っ白な顔をして、最初から呼吸も拍動もなかったかのような様子で、何をしてもしんと静かなものだから、もしかしたら最初から死んでいたのかもしれないと思ったり。

 現代装備だったことだし、多分あの人ではなくNPCキャラクターとしての登場だったのだろうね。

 起きてみれば随分カオスだけど長いこと行動を共にできたし、一応クライミングしている姿も見られて嬉しい夢でした。私の夢はここでおしまいだったけど、おわりの先でマロリーに会えていますように。

 

 夢に出たからといってスピリチュアルなことを考えたりは全くしないけど、幽霊の正体が脳の引き起こす錯覚だとするならば、幽霊の材料を揃え思考で整備し、無意識の血を上手いこと巡らせてあげることで、ある程度自分の会いたい「幽霊」をつくれる可能性があるのでは…と思っています。今回だと錯覚が夢に置き換わるので明晰夢レーニングに近いかもしれない? あるいは自分の脳の中で人格コピーしたAIにリアルタイムで演算させることを目標とするような。

 材料は随分増えたと思うけど、フランケンシュタイン博士になるにはまだ電力が足りないのかもしれないね。あの山へ行って極限状況下に置かれるという仮定を現実にできた時、はっきり会えるくらいまで綿密に組みたいのだが。

 出てきた彼がどちらの夢でも喋らなかったのは、彼らは英語を話してくれないといけないという意識が夢の中でも強いのに、今の自分は夢の中で英語を生成するのが難しいせいだろうな~と…声の記録が残っていないからイメージが固まらないのもあるかもしれないけど。幽霊に意識と意思・思考はあっても、まだ発声器官と言語を持っていない。

 でも最近「要所要所の単語は聞き取れて状況と合わせれば話している内容を推測できる」という結構リアルな理解感覚が再現された英語を話す人物が登場する夢も見たし、頑張りたいものだ。

 

 西洋盆が近くて嬉しい限りです。一年で一番好きな行事。ハッピーハロウィン。

 

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 オープンにするにはちょっと趣味が悪いかな~と思ったけどハロウィン近さにかこつけた絵。怪奇小説と怪談と好きなジャンルのホラー系二次創作がだ〜い好きでね…。

 暫く前に電子書籍を購入していたダン・シモンズThe Abominable という小説をキーワード検索掛けながらほんのちょっぴり拾い読みしていたら、1925年にある事情からひっそりエヴェレストに入山していた語り手たちがサンディの遺体を見つけるシーンがありまして。その中に「ゴラクに啄まれた左頬の傷が大きく笑いかけてきているように見える」という旨の描写があったのが印象的だったので…というのが第一。

 あとは事故の責任がどこにあるかといったありふれた議論だとか、サンディが状況を正しく認識できていなかったんじゃないかという話とか、遠征隊撮影技師ノエルの著書『西蔵を越えて聖峯へ』に書かれているサンディはいつでも楽観的過ぎるのが玉に瑕だという評とか。

 ついでに最近読んだイェイツの『さらわれた子供』という詩が好きだったので。アイルランドの伝承に素材を取った詩なのですが、『カーミラ』でとりわけ有名なレ・ファニュが同じ題材で『妖精にさらわれた子ども』という短篇を書いています。英国の怪奇短編集が好きでちょいちょい買ったり借りたりして読んでいるのですが、この話が一等好きです。

 そんな感じなので史実解釈とかはないけどなんかそれっぽい感じの絵面になっちゃったのは不手際かな…ただの最近読んだもの絵日記なのに。

 The Abominable は面白そうだし読みたいけど、いかんせん物理的な量が多くて英文だと骨が折れそうだから出来たら邦訳が出てくれるといいな…ダン・シモンズならワンチャン…。邦訳欲しいものが多すぎるから最終的には自分の英語力鍛えないといつまでも効率悪いんだけどね。

 イギリスで会話ボロボロすぎて先方に申し訳なかった記憶も鮮やかなうちにということで、月末からはオンライン英会話に挑戦する予定です。リーディングもまだまだ杜撰すぎるしライティングも自動翻訳ベースで長文を書いているような状態なので、これで耳と口だけでなく文法や語彙も強制的に鍛えて総合的に伸びてくれるといいな~続くかな…ひとまずやるだけやってみます。脳の中の幽霊に言葉を教えるためにもね。その時幽霊は何を話してくれるだろうか。


(追記)

 スピリチュアルといえば、事故後サンディの霊と会話してあの日の出来事を聞いたと主張する人物が出てきた事件がありました。オリバー・ロッジ卿という物理学者かつスピリチュアルな著述家です。この件に触れるまで知らなかったけどwiki記事も邦訳著書もある。

 この人はサンディの父親に宛てて「サンディの霊」から聞いたあの日の話などを書き綴り手紙として送りつけたのですが、父の答えは「サンディは芝居がかった派手さが嫌いだし、仮にあの日のドラマチックな出来事を語るとしてももっと素っ気なく、何でもないことのように説明するはずだ」といったもの。問題の手紙は読んだことないけど、親が言うのならそうなのでしょうね。

 こういった話や子を亡くした親へ直送する行為に渋い顔をしているけど、正直なところフィクションとしての興味はある案件。アーカイブにあったので見せてもらっても良かったかもしれない…でも限られた枠の中でというと言うと、うーん…邦訳著書の中にあるかな…。


英国旅行2021③(+渡英PCR検査関係)

 とっくに隔離も終えて日常に戻っていますが、英国でのことのまとめ続き。

 オックスフォードでの隔離生活と、TwitterでYMS当選者の方などからPCR検査関係のことを訊かれたので自分の場合のことをまとめておきます。ちょっと煩雑な話が多いね。

 今回も長いのでたたんでおきます。続きから。

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英国旅行2021②

 無事にヒースローへ到着し、オックスフォードのホテルで隔離中です。いやー入国関係で大きなミスしていなくて本当によかった…。

 日本は現在イギリス政府が定めている検疫要綱で、入国手続きが厳しい順に赤・琥珀・緑に分けられたカテゴリのうち琥珀に含まれています。現在の検疫では、琥珀カテゴリの国は特定のワクチンに関する条件を満たしていない限り、到着日を0日目として10日間の隔離が必須となっています。2日目と8日目に行う検査で両方陰性が出ればその後自由に行動できるのですがいかんせん長すぎるので、希望者は5日目に受けることのできる Test to Release という検査も予約しています。これが陰性ならひとまず出歩けるようになるけど、その場合でも8日目の検査は受けてねというわけです。

 そんなわけで今日は2日目の検査キットが届くまでは暇なので、往路の写真などを整理。

 

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 写真が多くて長いので続きから。

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英国旅行2021①

 暫くバタバタしていたけど書き残しておきたいことは沢山ある一ヶ月でした。

 慌ただしかったのと、宙に浮いたままの計画をあまり口外しすぎると頓挫しそうな気がする…という根拠なきジンクスのような気持ちとで…。

 

 暫く前の記事でも触れた気がするけど、今ロンドンのアルパインクラブの施設で英国のエヴェレスト遠征100周年を記念した展覧が開かれている。

 どうしてもこれに行きたい気持ちを引きずり続けていて、結局行くことにしました。しましたというかなんというか…。

 イギリスは五月にある程度の国からの観光目的の訪問を許可する方針に変わっていて、日本も隔離と複数回のPCR検査をクリアすれば渡英できる状況になっていました。ただ実際行けるかというと、情勢や仕事のこともあって難しいものという理解。

 踏ん切りがついたのは、七月にイギリスで働きながら2年間暮らせるYMSビザの抽選に落ちたから。貯蓄計画、渡英してからのイメージ、そこそこ調べた上で少なくとも半年間の猶予が出来ることが決まり、抽選結果が出る前から「この抽選に落ちたらアルパインクラブの展覧を見に行くために動こう」と考えていた。

 で、倍率通りとばかりに落選通知が来て。その日の午後から上司たちにイギリスへ行きたい旨の相談や許可の取り付け、帰国後の隔離期間中から在宅ワークにすることで有給範囲内で収まるように…など色々調整。

 PCR検査の日程や目的地の営業日とのすり合わせ、アポ問合せなどもして、今晩から旅立たんとほぼ無人関空国際線フロアで夜まで時間を持て余している次第。

 海外に行くのは10年前先生の引率でイギリスへ語学研修に行った時以来で、海外旅行自体これで3回目、一人で行くのは初めて、飛行機も殆ど乗ったこと無いような有様なのでなんか…やらかしそうで(やらかしてそうで)不安だけど…でもこれで無事に終われば自信がつくねという感もあり…。

 正直現段階でもこんな記事を書いたらチェックインカウンターあたりで酷いやらかしが判明しそうで怖いのですが! 既にスマホの充電コードを一度出した後しまい忘れていたことが判明してこれから買いに行くところだよ。大丈夫かな。

 

 自分がこの旅行の準備のためにどれだけのことをしたかという話は自分がやりたいことのための準備なので全然苦ではなかったし、苦しかったのは感染者数がうなぎ上りになっている日本がイギリスの定期検疫改定で旅行目的の渡航が禁止されるカテゴリに移されてしまうことや、フライト前のPCR検査で陽性反応が出てしまう懸念だったのだけど、じっと過ごしている人たちのことを思うと申し訳なさはある、というのは書き添えておく。それでもなお、と動くことにした背景をいくら述べ立てたところで言い訳がましいだろうし。

 行くからには感染せず帰ってくるべきだと思っているので対策は徹底的にするけど、それも当たり前のことだしな…。

 

 とはいえ後ろめたさの反芻はもうひとりで散々しているし、他人が見る可能性のある場所でやると本当に言い訳にしか見えないのでひとまずこのくらいにしておいて。

 

 今回の旅は帰国後の隔離まで含めると一ヶ月弱かかるのですごく長く感じるけど、イギリスで主目的のために費やすのは実質2日、散策する余裕のありそうな日を込みにしても3日といったところ。

 まずはロンドンに到着したら真っ直ぐオックスフォードへ向かい、そこのホテルで隔離期間を過ごす予定。

 部屋からは出られないけど、サンディが眩いばかりの日々を過ごした街の景色を眺め、その空気を吸いながら過ごせるだけでもとってもわくわくする!

 最初に設定していた主目的はアルパインクラブの訪問だけど、他にも出来ることがありそうなので、その辺りは実際に予定通り出来たらまたまとめる形で。

 

 楽しみにしていることが沢山あるけど、アルパインクラブについては写真でしか見たことの無かったものを実際目の当たりに出来そうなのが本当にどきどきする…。

 サンディのアックスは写真こそよく見るけれど、本物を前にする機会は果たしてあるものか怪しく思っていたので想像するだけで緊張する。最後の日、少なくともファーストステップまでは持っていた品だ。三本刻みの入ったアックス、沢山の憶測を生んだ品、そんなものを前にすることに緊張しないはずがない。当時のアックスは今より随分長いし、手にしている人の写真も何枚か見たことがあるけど体格が分からないからちょっとスケールが分かりづらいので、それがはっきりするという意味でも楽しみ。

 日記も活字化されたものは読んでいたけど実際のノートがどんなものだったか知ったのは展覧のカタログが届いてからで…実際にあの旅に連れて行かれて、毎日書き綴られた品を前にしたら…どんな感情がわくのだろう、ちょっと想像がついていないかも。

 他にも沢山の写真や手紙、当時の装備などが展示されているので楽しみに向かうことにします。

 

 死者に会いに行くとか、死者を探しに行くとか、そのような言い方は己のしていることをそう評される分には嬉しさまであっても自分から称するのは憚られる。でもこの旅にかける思いは、多分そういった感覚なのだろうとも思う。

 うーん、終わった時どう振り返るんだろう その辺りも楽しみに旅立つこととします。