CampⅦ

1920s Mt.Everest Expedition

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 ここ2年以上のあいだ四六時中考えている割に全然夢には出てこないのですが、数日前珍しく夢枕に立たれました。

 以前にも一度出てきたのですが、その時は蝋人形で百年前のイギリスの暮らしを再現した展示を見ていたらいつのまにか傍に立っていて、黙って微笑みながらじっとこちらを見ているだけでした。

 今回の夢の舞台は1924年6月だったようで、ノートンとサマヴェルがファイナルアタックの話をしていたのはそれらしいけれど、サンディは何故かマロリーを探してひとりで登っているようでした。

 しかも夢らしく滅茶苦茶なことに現代風の装備に身を包み、運動神経はいいけど危なっかしさの強い調子で松の樹皮のように脆い岩肌とアイスのミックスをクライミングしていたり。

 突然巨大且つ獰猛なイエティと、モン○ターズインクのサリーの着ぐるみ、それも首から下だけを着てイエティの着ぐるみだという設定になっている凶暴なおじさんが登場して、サンディあわせ謎の三つ巴の戦闘が始まったり。(この夜寝る前に友人とゾンビワールドという映画を見ていて、その中に出てくる海底産ゾンビ?を相手に無双するヤバいおじさんを見ていたせいですね。)

 強めの神話生物ばりにイエティが理不尽なパワーバランスなので、恐らく気絶判定に失敗したのであろうサンディを連れ、何故か山中に建っている小屋へ逃げ込み、何故かそこで当たり前のように快適な生活を送っている妹に美味しい和食を恵んでもらいながら心肺蘇生を試みたり。

 でもあまりにも真っ白な顔をして、最初から呼吸も拍動もなかったかのような様子で、何をしてもしんと静かなものだから、もしかしたら最初から死んでいたのかもしれないと思ったり。

 現代装備だったことだし、多分あの人ではなくNPCキャラクターとしての登場だったのだろうね。

 起きてみれば随分カオスだけど長いこと行動を共にできたし、一応クライミングしている姿も見られて嬉しい夢でした。私の夢はここでおしまいだったけど、おわりの先でマロリーに会えていますように。

 

 夢に出たからといってスピリチュアルなことを考えたりは全くしないけど、幽霊の正体が脳の引き起こす錯覚だとするならば、幽霊の材料を揃え思考で整備し、無意識の血を上手いこと巡らせてあげることで、ある程度自分の会いたい「幽霊」をつくれる可能性があるのでは…と思っています。今回だと錯覚が夢に置き換わるので明晰夢レーニングに近いかもしれない? あるいは自分の脳の中で人格コピーしたAIにリアルタイムで演算させることを目標とするような。

 材料は随分増えたと思うけど、フランケンシュタイン博士になるにはまだ電力が足りないのかもしれないね。あの山へ行って極限状況下に置かれるという仮定を現実にできた時、はっきり会えるくらいまで綿密に組みたいのだが。

 出てきた彼がどちらの夢でも喋らなかったのは、彼らは英語を話してくれないといけないという意識が夢の中でも強いのに、今の自分は夢の中で英語を生成するのが難しいせいだろうな~と…声の記録が残っていないからイメージが固まらないのもあるかもしれないけど。幽霊に意識と意思・思考はあっても、まだ発声器官と言語を持っていない。

 でも最近「要所要所の単語は聞き取れて状況と合わせれば話している内容を推測できる」という結構リアルな理解感覚が再現された英語を話す人物が登場する夢も見たし、頑張りたいものだ。

 

 西洋盆が近くて嬉しい限りです。一年で一番好きな行事。ハッピーハロウィン。

 

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 オープンにするにはちょっと趣味が悪いかな~と思ったけどハロウィン近さにかこつけた絵。怪奇小説と怪談と好きなジャンルのホラー系二次創作がだ〜い好きでね…。

 暫く前に電子書籍を購入していたダン・シモンズThe Abominable という小説をキーワード検索掛けながらほんのちょっぴり拾い読みしていたら、1925年にある事情からひっそりエヴェレストに入山していた語り手たちがサンディの遺体を見つけるシーンがありまして。その中に「ゴラクに啄まれた左頬の傷が大きく笑いかけてきているように見える」という旨の描写があったのが印象的だったので…というのが第一。

 あとは事故の責任がどこにあるかといったありふれた議論だとか、サンディが状況を正しく認識できていなかったんじゃないかという話とか、遠征隊撮影技師ノエルの著書『西蔵を越えて聖峯へ』に書かれているサンディはいつでも楽観的過ぎるのが玉に瑕だという評とか。

 ついでに最近読んだイェイツの『さらわれた子供』という詩が好きだったので。アイルランドの伝承に素材を取った詩なのですが、『カーミラ』でとりわけ有名なレ・ファニュが同じ題材で『妖精にさらわれた子ども』という短篇を書いています。英国の怪奇短編集が好きでちょいちょい買ったり借りたりして読んでいるのですが、この話が一等好きです。

 そんな感じなので史実解釈とかはないけどなんかそれっぽい感じの絵面になっちゃったのは不手際かな…ただの最近読んだもの絵日記なのに。

 The Abominable は面白そうだし読みたいけど、いかんせん物理的な量が多くて英文だと骨が折れそうだから出来たら邦訳が出てくれるといいな…ダン・シモンズならワンチャン…。邦訳欲しいものが多すぎるから最終的には自分の英語力鍛えないといつまでも効率悪いんだけどね。

 イギリスで会話ボロボロすぎて先方に申し訳なかった記憶も鮮やかなうちにということで、月末からはオンライン英会話に挑戦する予定です。リーディングもまだまだ杜撰すぎるしライティングも自動翻訳ベースで長文を書いているような状態なので、これで耳と口だけでなく文法や語彙も強制的に鍛えて総合的に伸びてくれるといいな~続くかな…ひとまずやるだけやってみます。脳の中の幽霊に言葉を教えるためにもね。その時幽霊は何を話してくれるだろうか。


(追記)

 スピリチュアルといえば、事故後サンディの霊と会話してあの日の出来事を聞いたと主張する人物が出てきた事件がありました。オリバー・ロッジ卿という物理学者かつスピリチュアルな著述家です。この件に触れるまで知らなかったけどwiki記事も邦訳著書もある。

 この人はサンディの父親に宛てて「サンディの霊」から聞いたあの日の話などを書き綴り手紙として送りつけたのですが、父の答えは「サンディは芝居がかった派手さが嫌いだし、仮にあの日のドラマチックな出来事を語るとしてももっと素っ気なく、何でもないことのように説明するはずだ」といったもの。問題の手紙は読んだことないけど、親が言うのならそうなのでしょうね。

 こういった話や子を亡くした親へ直送する行為に渋い顔をしているけど、正直なところフィクションとしての興味はある案件。アーカイブにあったので見せてもらっても良かったかもしれない…でも限られた枠の中でというと言うと、うーん…邦訳著書の中にあるかな…。