CampⅦ

1920s Mt.Everest Expedition

サミットバーサリー2022

 98th

 昨年は日記の訳作りなどで何も描けなかったので今年は記念に描けて良かった…。

 リアルタイムで追っていたりするとこの日は結構堪えるけど、絵柄といいシナリオ関係といいかなりサブカル的な触れ方もしてしまっているし、そもそも他者を自分の側に勝手に引き込むような行動は気が引けるので、少なくとも外へ向けて特定の日についてあまり深刻なニュアンスのことを言いたくない。できれば今年みたいなサミットバーサリーとしての触れ方がいいんじゃないかなと思ったり。

 それでも資料の浚いを進めている時期とかち合うと落ち込むけどね…。

 

 昨日はちょうど百年前の22年遠征にて酷い雪崩事故が発生し、アタックの打ち切りが決定した致命的な日でもあったのですが、本当に慌ただしさや気の散り方で全然おさらいできないまま百周年のシーズンが終わってしまうなあ。関心の中心は24年とはいえ、惜しいことをしてしまったとも思う。

 2年後は2年後でイギリスでの滞在期限が迫りつつある時期で慌ただしくしているかもしれないけど、第三次遠征から百周年記念の展覧や講演に行けたらいいな。

 

 実家への引っ越しがカウントダウン状態で、そこから一ヶ月でいよいよイギリス行きなので慌ただしいけれど、それまでにやりたいことや楽しい予定も多くて有難い限り。全部やり切ってから渡英したい…。

 

神々の山嶺

 7/8にはいよいよアニメ映画版神々の山嶺が公開と相成るのでそわそわしています。試写会行きたかった~でも出国前に見られる見込みでよかったー! 地元だと少なくとも公開日には上映なさそうなので名古屋行きかな…? 朝イチの上映に行く予定。

 初見感を楽しみにしたくてあまり調べていなかったので、予告動画でマロリーとサンディが登っているシーンがあってはちゃめちゃに喜んでしまった。1924年6月8日昼頃までの山頂付近はよく晴れていたと言われているはずだけど(前日のマロリーの見通しも快晴無風に近いニュアンスだったしね)、トレーラーの映像だと雪あり風ありで、喜びの次には胸が痛くなってしまった。

 フランス語や英語のWiki見る感じ台詞は無さそうな気がしているけど、登っている二人の姿を見られるだけでもかなり満足してしまうな…。彼らはこの物語の主題ではないことは百も承知しているのであまりこの辺の話ばかりするのも申し訳ないと思ってはいる。もちろん本筋も楽しみだし、お見かけした試写会感想だと登山要素に特化しているらしいとのことなのでアニメーションでの登攀表現にかなり期待している。あと背景美術! 高所の空や、明けや暮れに染まる雪の色大好き。

 基本的に日本語しりょうは印刷物しか見ないようにしているので、ポスターや宣伝でマロリーの名前を日本語でバンバン見るのちょっと不思議な気分になってしまった。

 そしてユアン・マクレガー主演の遥かなる未踏峰ベースの映画は無事に上映されるのだろうか…。

 

◆古写真のこと

 昨年イギリスのオークションにサンディが写っている古写真が出品されていたのですが、完全に見落としていたことに今年2月下旬に気がつきまして。

 1923年6月撮影、マートンカレッジの学生たちの集合写真。最前列中央にサンディが座っていて、解説によれば恐らくボートでの活躍によるポジションだろうとのこと。

 オークションで競り落とされたものにはSOLDの表記がついているのですがこちらには何もなく、駄目元で問い合わせてみるも返信は来ず。流石にオークショニアさんへ競り以外の形での入手手段を求めて問い合わせるのは失礼だったかと反省しつつ、未練がましくカタログを何度も見返し続けること約三ヶ月、思いがけずご返信を頂いた。

 どうやらこの写真は年始頃にある古物商さんへ売ることになったものの、肝心の写真が行方不明になってしまっていたとのこと。最近見つかったので、よかったらその古物商さんへメールを転送してくださるとのお申し出に有難く甘えることに。

 その後古物商さんとやり取りを重ね、渡英後にステイ先で直接受け取れる運びとなった。フレームが大きすぎて日本へ送れないかもと言われたので渡英予定があったのは本当にラッキーだったね…なまじ出品段階で見つけていたら打つ手なし状態になっていたかもしれない。オックスフォード方面は度々訪れるのでついでに立ち寄ると仰って下さり、本当に幸運が重なりに重なっている。帰国時にどうするかは帰国時に考えよう!スーツケースに収まるといいのだけど。オリジナルのフレームと台座なので外したくないしね。

 この親切な古物商さんが、まさかの昨年訪れたアルパインクラブの遠征百周年記念展覧の準備・設営に携わっている方だった。言われてパンフレットを見返したら確かにお名前が載っていて、こんなところで繋がるとはと驚くことしきり。展覧が本当に良かったということもお話しさせていただいて、あの展覧に携わった方へお礼をお伝えすることができて良かったなあ~としみじみ…。

 友達というわけではないけれど、渡英後にお会いしましょうという約束があるのはすごく嬉しい。恐らくまだ受け答えがろくすっぽできないタイミングでお会いすることになるので伝えるべきことは全部メールに書くつもりでいるけれど、少しでも顔を会わせて会話出来たらいいな…お礼とかちゃんと口でも伝えたい。

 スキャニング・複製した写真データは沢山持っているし、写真が掲載されている古新聞や雑誌もいくらか所有しているけれど、当時焼かれたオリジナルは初めてだ…どきどきしちゃうな…。写真って重要なのは大抵そこに写っているデータなので、オリジナルか複製品・スキャンデータかというよりも傷み具合や精度の方が優先されることの方が多いと思うけど、当時の写真そのものがかなり綺麗なまま今まで残っていること、それを手元に置けるのって特別だ。大切にしなければ。

 この写真、サンディの写っている写真が一度行方不明になってまた見つかったというのも良い物語だな~と思う。モノそれ自体にまつわる物語もオリジナルならではかな。複製品にもそれぞれ物語は生まれるけど、いくらでもコピーを作れるデータや商業ラインに乗っていて再入手可能な品だと得難いケースが多いしね。

 解説にある通り、他のボート部員や二ヶ月後に一緒にスピッツベルゲン遠征へ赴いたメンバーもいるはずなので、写真が手元に来たらじっくり見たいところ。無事に受け取るまで何があるか分からないけど、恙なく進んで、温かい思い出のフックとしても傍に置けたらいいなあ。

 

 


 

 

 絵の作業経過などメモ

 

 今回やりたかったこと

  • 二人並んでの構図
  • 腕組み
  • チャリで来た」感 徒歩で来た
  • 下界へ繋がらないザイル(ラフは片方だけだけど、途中で生還はしていないしな…と思い直し修正)
  • 画面外(=生者の場)へ少しだけ繋がるひとと全く孤立したひと

 ゴーグルも描きたくて、でもどう配置するかぱっと思いつかずラフにメモしていたらそのまま忘れてゴールしてしまった…今回はそういう絵だったということで…。

 

 ラフの上からざかざか線を引いてベースの色を配置した状態。

 ラフ段階では頂に掛けているような図にしたかったけれど、どうしてもしっくりこなかったのでこの段階で人物だけにすることに。ほぼ無地背景になりそうだったので、少しSingles to Heavenの表紙をイメージした感じにしようと決める。

 当時の写真など見ていると同性の友人同士でもよく腕を組んで写真撮っているのが印象的で、腕組みも描いてみたい気持ちがあってのラフだった。しかしこの段階で「チャリで来た」感がどこかへ行ってしまって若干不安になる。とはいえもう構図を切り直す時間はないのでこのまま進行。

 

 絶対使う全体陰影とオーバーレイをかけ、線は残したままある程度進め、ザイルのガイドを入れた状態。ここで人物の塗りと線レイヤーを結合、ひたすら塗り潰していく。

 肌の赤みを入れたあたりで想定していたのとだいぶ違う雰囲気になってきてしまい焦るも、多分表情修正してザイルを描き込めば何とかなるかな…という見通しで続行。6月だし本当はもっと焼けている塗りをしたかったけど、赤みが強すぎると大丈夫じゃなくなりそうだったのでいつもの感じで。最近ちょっとA Deathful Ridgeのことを考えすぎだったのだろう。

 

 線を塗り潰していき、バランスなど少し修正もかけた状態で一旦寝る。

 ここから更に画面右下の塗り潰しを進め、顔のバランスを直したりザイルを清書したり、ちょっと加工したりしてギリギリ完成。

 Twitterには0時指定で予約投稿したかったけど2分前までキャンバスいじっていた…。

 

 ずっと肌の塗りだけしていたい。


 あとは引っ越し前に6/18の絵が描きたいけど、それまでにワクチン三回目接種で寝込む見込みがあったり、荷造りをほぼ完遂しておかないといけなかったり、友人の家に泊まりに行きたかったり、大山に行っておきたかったり…間に合うかな…。