CampⅦ

1920s Mt.Everest Expedition

日記:本を買うなど

 一ヶ月ぶりの二連休、何も予定を入れずのんびり過ごしました。

 

 一日目は、繁忙期の晩秋~冬や元気の無かった時期に家事をほったらかしにして散らかしまくったお部屋の片づけなど…。元々片付けがすごく苦手で散らかしてばかりだけど、それにしたって酷かったので。捨てようと思ってまとめたまま放置していた古雑誌などの束とか、レンタカーを借りてちゃんと古紙回収ボックスへ出しに行こうと思っていたのだけど、結局免許取って以来1度も車道を走っていなくて怖いのでいつまでも乗りそうにないし、燃えるゴミに出してしまった。それでもごっそり片付けたので、気持ちは随分すっきり。花粉症や低山の暑さがしんどくて春~夏は自分にとってほぼオフシーズンみたいなものなので、家の重いことはこの時期にやらねばならない。

 

 それから、久しぶりに『英国怪談珠玉集』を開いた。随分前に買っていた美しい本で、短篇集だから読み止しで置いていても急ぐことが無くて、心地よい一冊。

 この中のキップリング作「彼等」という短篇がとてもよかった。美しいイギリスの森とお屋敷、心優しい盲目の御婦人、人見知りの子供たち、迷い込んだ語り手。冒頭に引かれていた詩もあり、最初の方で凡そ子供たちの正体や語り手の背景は想像がつくのだけど、それでも終盤は涙が溢れて仕方なかった。盲目の婦人の孤独について印象深く語る人が多いようだけど、自分は語り手の痛みの方がもっと刺さったかな…。離れがたいよ。

 ひと口に怪談・怪奇譚と言っても実に様々で、終盤まで一体どうしてこうも怪奇現象が続くのか分からないとか、語り手が死にそうでハラハラするとか、あるいは黒幕や真相を暴いて気持ちのいいハッピーエンドを迎えるとか、色々な構成があるわけだけど。この「彼等」は、予想を裏切る意外性のような派手さはなくて、ある意味分かっていたことをその通りだと見せられるような筋書きなのに、ただただ切なくて胸が痛かった。ひとつの背景をどう描くかという話なのかな。この背景を、この景色を、こんなにも愛おしく胸刺す描写・演出ができる人がいたのだなあ。衝立の裏からそっと語り手の掌にキスした子供が、その顔を見た語り手が、その光景がありありと想像された。

 作者キップリングの背景事情はきっとネタバレになってしまうのでやめておくけど、猶のこと胸が痛かったよ。

 うん、素晴らしい作品に出会いました。類似テーマの短篇集を一気に読むと印象に残った話以外は忘れやすい(ので結構早いうちに再読を楽しめる)けれど、この作品のことは忘れられないだろうな。 

英国怪談珠玉集

英国怪談珠玉集

  • 発売日: 2018/07/23
  • メディア: 大型本
 

 

 ここ2年半近くはほぼ毎日何かしら書いていて、時々は描いてもみる感じの日々を送っているのだけど、日記の翻訳をしているとどうもこれまで弄っていた小説系がさっぱり進まない。日記で「書く」という欲求を満たせて満足しちゃうのかな。

 しかしSTARGAZERはもう前半のキリがいいところまで書き終わった気でいたけど、絶対もう一区切りつくところまで書いてしまわないと人から見ればキリが悪いな…と思い加筆を進めているところ。読む人がいるかは分からないけど、出すなら折角だし少しくらい外の目を意識しておこうというだけのこと。

 偶に他の話やフックを思いついてそちらを書いている時以外はずっとこのファイルをちまちま書き進めているのだけど、日記の翻訳やその他書くことが多く、ついでにインプットを優先したい波が来ていたりもあって…多分2ヶ月くらい放置していたのかな? ちょっと久しぶりにちゃんとファイルを開いて、シーンを進めて。実のところ殆ど進まなかったのだけど、すごく楽しかった。

 ここ数ヶ月は史実のことにどっぷり浸っていて、暫くこのフィクションや、NPCサンディからはちょっと離れていたことになる。今日の加筆はちょっと久しぶりにNPCサンディに会ったようでいいものだったな。

 モデル人物がいて、背景事情によって歪む部分以外はなるべく言動の指針を寄せようとしているので(といっても書き始めの頃は知識が少なすぎたし、NPCの事情もあり結局遠征におけるサンディ評の擬人化に近いとは思う)、これは自分の考えたキャラクターですと大きな顔する気はない。でもこのNPCサンディは自分がとても好きな架空人物だし、自分の中にいるこの人物の物語を上手くアウトプットする技量が無いのがもどかしいばかり。それでも好きな部分はあるんだけどね。何万字も書いておきながら放置することが儘あるタイプだけど、せめてこれだけはちゃんと完成させたいな。

 

 あと特筆することといったら、本を数冊ポチポチしたくらいかな。

 

  先の『英国怪談珠玉集』の編者でもある南條竹則先生の訳でバチバチに格好いい表紙、しかも文庫! やったね!

 インスマスの影が出ているのは知っていたのだけど、狂気の山脈にてが数ヶ月前に出ているとは知らなんだ。楽しみ~!

 ダンフォース君が好きな人はサンディの物語も好きだと思うけど、この話はちょっとブラックになるのでやめておこう。

 

  『狂気の山脈にて』のコミカライズといえば角川から出ている田辺剛先生のシリーズ全四巻が本当に素晴らしくて、正直これさえあれば十分満足と言われることの多い作品なのだけど、それでも他の方のアウトプットも見てみたいタイプで。

 こちらは単行本にのみ収録されているパロディ作『陰気な山脈にて』がとても面白いと聞いているのもあって気になっていたのだけど買いそびれていたのだった。上記の新訳にテンション上がったついでに購入しました。

 

 こちらはTwitterで検索していたら中身の画像があり、写真を元にした水彩スケッチが何枚も収録されているようだったのでそれが見たくて購入。新版が出ているけど挿絵がどういう形で収録されているか分からなかったので、ちょっとお高いけど旧版の古本を購入した次第。

 

 片付けた矢先から物を増やしていく…。

 積読の山、とりわけ洋書を読むのに折れる骨が全身骨折レベルなので永遠に片付かなさそうです。積んだ山に幸せになれるタイプだからまあいいか。

 そんな感じのゆったりした休みでしたとさ。おしまい。